ミシュラン一つ星、天空の回廊「しまなみ海道」を自転車でゆく

久々の一人旅、ならば普通の観光で終わらせることなく、ミッション型の旅行にしようと思った。誰に気をかけることなく、自由にミッションを設定できるのは一人旅の醍醐味だからだ。

「鈍行列車で行く!出雲大社参拝の旅」と迷い、自分コンペの末、僅差で勝ち抜いたのは「しまなみ海道サイクリングと道後温泉で溶けてく旅の疲れ」。

ミッション内容が重ければ重いほど、自己満足感はマシマシになる。電車に乗っていれば着く出雲大社よりも、自転車を漕ぐ旅の方が大変そうで自己満も増大しそうだ。何より、旅の終着地に日本三古湯の一つである道後温泉があるのがいい。

こうして、10年以上ぶりのサイクリングへ。

しまなみ海道は全部で6つのコース

個人の体力にあわせて、6つのしまなみ海道サイクリングのモデルコースがある。

  1. ブルーラインコース
  2. 村上海賊コース
  3. 絶景のマウンテンコース
  4. よしうみバラ公園コース
  5. 生口島周遊コース
  6. ゆめしま海道コース

コースによって距離が23〜85kmとまちまちだが、僕は「しまなみ海道をはじめて走りきるならコレ!」とプッシュされているブルーラインコース(70km)を選んだ。

しまなみレンタサイクル

自転車を持っていない、持っていくのが大変な人は「しまなみレンタサイクル」を利用しよう。しまなみレンタサイクルは全ての13のターミナルで乗り捨て可能だ。

僕はクロスバイクを広島・尾道港で借りて、同日に今治駅前で返却。レンタル料金と保証料合わせて、たったの2200円。良心的な料金設定で、気軽にサイクリングすることが出来る。

天空の回廊をゆく、しまなみ海道ブルーラインコース

朝一番の7時に尾道港でクロスバイクをレンタル。向島へ渡るのは船、いきなり旅情全開だ。

この行渡船は地元の人も通勤や通学に使用されている。軽自動車も乗り込むことができるようで、まさに生活に密着した必要不可欠なインフラだ。

観光用ではなく、地元の人に愛されている交通手段に混ざらせてもらえて嬉しい限り。

向島に着くなり、漕ぎ始めるも、サドルの高さを調整したりとバタバタ。このクロスバイク、サイズが小さくて漕ぎづらいということに気づく。

借りる時に、ブリジストン製のブランドにすっかり安心しきってしまい、サイズをきちんとチェックしなかったことを少し後悔。もう一蓮托生だ、仕方ない。

しばらく漕いでいると、最初の渡るべき橋がみえてきた。因島大橋だ。

橋の構造物にうっとりしつつも、橋の高さは船が行き来できるように設計されていて、橋を渡る度にその高さまで登らなくてはならないという事実を突きつけられる。

しかも、橋自体にも目には見えないが、若干の勾配がある。

普段、自動車で渡る時には気づかないけれど、自転車の場合、少しの勾配に対して非常にセンシティブにならざるを得ない。ボディブローのように体力を奪われていく。

それでも、天空の回廊と豪語しても決して大袈裟ではない絶景があるから頑張れる。

外国の方とも何度かすれ違った。ミシュランにも一つ星として掲載され、世界的にも有名らしい。

思っていたよりも坂道は多いし、風が吹くと漕ぐのも大変。写真撮るのに立ち止まりたいけれど、先にも進まなければならない焦燥感との葛藤の連続だった。

それでも、幾つもの絶景をすり抜けて

時にはレモン畑を進み

B級グルメに舌鼓を打ったり

道の駅で他のサイクリストと交流したりと、ここでしか味わえない贅沢な時間だった。

そして、15時にゴールである今治駅に着いた。

途中、歩いたりもしたけれど、日が暮れる前に着くことが出来てよかった。自転車を返却し、今治を観光することなく、駅前のホテルへチェックイン。シャワーを浴びて、体を休めることにした。

おまけ

次回は生口島周遊コース(23km)を選びたい。景色も良いし、坂道も少ない上にスイーツを味わえるお店も多いらしい。美術館に寄ったりして、ゆっくり回るのも理想的なサイクリングコースだ。