全国的にも珍しい「わらじ」を履いたお地蔵様が京都の鈴虫寺にいらっしゃる。参拝者の住まいまで来て願いを叶えてくださるため、わらじを履いているそうだ。
清水寺でもない、金閣寺でもない、「わらじ」を履いたお地蔵様へ参拝するために、横浜から京都へ向かうことにした。
(久々の新幹線だからホームに立つだけでワクワクだ)
平日にもかかわらず朝の新幹線は混雑していた。アフターコロナでビジネスマンの需要が戻ってきたのだろうか。心穏やかなまま参拝へ向かいたかったので、初のグリーン車に乗ることに。
(初のグリーン車。5000円も料金が異なるから今回は特別だ)
静寂な車内、厚手のおしぼりのおもてなし、ビジネス・オピニオン雑誌「WEDGE]の配備、乗車してすぐにグリーン席の虜になってしまった。
(広すぎる空間ゆえ、前の席のリクライングが必要では?と思えるほど)
車内のお供は新横浜駅構内で購入した静岡茶と上野にある有名な洋食屋「三代目たいめいけん」のカツサンド。旅の出だしは絶好調。
2時間程で京都へ到着。
京都駅併設のホテルで荷物を預けて、身軽になったところで鈴虫寺へ。最寄駅は阪急嵐山線の「上桂」か「松尾大社」。どちらか迷ったが、ご利益のありそうな松尾大社駅で下車して向かうことに。
日差しは強かったが、青空が眩しく、
小川のせせらぎの音が心地よかった。
松尾大社から徒歩9分、鈴虫寺へ到着。
ここのお寺は願いを叶えてくれるお地蔵様が有名なのだが、それと同じくらい住職による説法も大人気なのだ。
この説法を聞くために全国各地から参拝者が絶えず、ゴールデンウィークの期間はなんと3時間待ちとのこと。
説法の所要時間は30分程で、朝の9時から夕方の16時まで1時間毎に行われる。
僕は運よく12時開始の説法へ待つことなく案内された。鈴虫の大合唱の中、この日は副住職による説法を聞いた。
説法の内容は堅苦しくなく、オーディエンスとの絡みで笑いを誘いながら、当たり前だけれど忘れがちなこと、分かっているつもりでも出来ていないことを教えてくださった。
特に感銘を受けたのは「利他」という仏教用語。僕はこれまで利他とは他人のために尽くすことだと理解していたが、本当の意味はもっとその先にあった。
利他の本来の意味は「他人のために尽くすことを、最上級の自信の喜びとすること」。
説法を聞いたあと、お地蔵様に名前、住所、願いを告げ、利他の意味をかみしめながら、お寺を後にした。